令和2年1122日、お昼まで仕事をしたあと、高校時代からの山仲間N君を宇都宮でピックアップし、いろは坂を電光石火のごとく走り抜けて三本松(戦場ヶ原)に到着したのは日も傾きかけた15時過ぎだった。そこから舗装された林道を10分ほど走ると、登山者用に整備された小さな駐車場が現れた。かつてここには 営林署の古い飯場が建っていて、軒先に沢から引いたホースがあり、冷たい水がジャバジャバと吹き出していたことを思い出す。あの頃は林道も未舗装でとても歩きにくかった…。
 今日はとりあえず志津小屋まで歩き、明日は日の出と共に登り始める計画だ。
 例年だと奥日光はカラマツが黄金色の細松葉を落とすとすぐに寒い冬を迎えるのだが、今年はなんだか様子が違っていて日没間近だというのに手袋なしでも寒くない。
 駐車場から志津小屋まではちょうど90分。途中で2組の下山パーティーとすれ違う。志津小屋はログハウス風の立派な避難小屋でカッコいい!地図には水場があると表記されているが、雨の多い季節以外は干上がっているので、ご注意を。

 2日目。4時に起床し、ゆっくりと朝食を摂りながら明るくなるのを待った。6時ちょうどに行動開始。林道の脇からすぐに大真名子山への登りが始まる。シラビソの大木が鬱蒼と生え並ぶ森は次第に傾斜がきつくなり、大汗を強いられる。
 黙々と登り続けることおよそ110分、溶岩石のむき出した尾根(日光三険のひとつ「千鳥返し」と言うらしい)にたどり着いたと思った直後、登山道が森を抜けた。振り返れば男体山ごしに今市扇状地から続く関東平野の一端が見渡せる。
 間近に臨む男体山は大きな噴火口の跡を露わにしていて、南より見上げるその容姿とは趣が全く違う…。

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 雄大な景観に励まされ、勇足で大真名子山頂に走り着く。7時50分。
 ここから縦走路は標高差約260mのタカノスへ一度降りて、小真名子山に登り返さなければならない。下りの途中、シャクナゲの大きな群落がある。次は開花時期に合わせて登ってみたい。9時18分、小真名子山頂着。
 景色を楽しむ間も無く、先を急ぐ。富士見峠への下りは、これまでの森の中の道とは異なり、滑落と落石に注意が必要なやや高難度な道へと変わる。黄色いペンキの目印を辿りながら、慎重に高度を下げていく。30分ほどで富士見峠へたどり着く。ここは男体・志津から霧降へ続く縦走路と栗山~日光を結ぶ林道の十字路である。しばし、休憩。

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 峠から帝釈山への登りは比較的なだらかだが、大小の倒木が道を塞ぎルートが分かりにくいところがあった。80分ほどで帝釈山の頂上に着く。ここから女峰山までは程よい高度感のある眺め抜群の岩稜歩きだが、今日は北からの風が強く緊張する。稜線北側の樹木の枝には霧氷が張り付いていた。
 12時ちょうどに女峰山頂上。ちょうど風が止み、暖かな日差しを浴びながら、しばし雄大な眺めを楽しむ。来た道を振り返れば、男体山が遠くにどっしりと構えている。
 女峰山からの下り道は唐澤小屋を経由し、砂防ダムが連続する大きな沢沿いにシラビソの森を歩く。やがて、富士見峠から下ってきた林道と出会う。林道と言っても荒廃が進み、四輪はもとより、オフロードバイクでも通行困難なひどい道である。出会いから駐車場までおよそ150分の林道歩き(長い、長い、なが~い!)。その間、私は「これは修行か、娯楽か」という問いをただひたすら続けていた。
 16時43分、飯場跡の駐車場に無事到着。「俺たちまだまだイケルじゃん」とN君。ボクは明日の筋肉痛が怖い!!

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コースタイム

11月22日(日) 15時30分/林道駐車場(飯場跡)→17時/志津小屋

11月23日(祝) 6時/志津小屋→7時50分/大真名子山→8時33分/タカノス→9時18分/小真名子山→9時50分/富士見峠/10時10分→11時27分/帝釈山→12時/女峰山/12時20分→12時50分/唐沢小屋→13時10分/水場→14時/馬立→14時15分/林道出会→15時10分/志津乗っ越し→16時43分/林道駐車場(飯場跡) 

報告者/渡邉潤一 同行者/N君